前回のコラムでも少しコメントした“健康増進型保険”もそうですが、一昔前と比べるとずいぶんと色々な保険商品がでてきていますね。また、昔と同じ保険商品でも、その保障内容は“時代にあわせて”変わっています。そして、“時代にあわせて”という意味で考えなきゃいけないのは、やはり、人生100年時代なので“長生きに備える”ということでしょう。今回は、この“長生きに備える”ための保険の話です。
「トンチン年金って、ご存じですか?」
私が自治体や企業の職場にお邪魔して、セミナーでライフプランの話をしている際、参加者が少し疲れてきたかなぁ~、というタイミングでよく投げかける質問です。昨年あたりだと誰も知らない、というケースもありましたが、最近はご存じの方が少し増えてきたように感じます。ネーミングがユニークですから、一度聞いたら忘れない、ということもあるかも知れません。
「トンチン年金」の“トンチン”は、17世紀にイタリアに実在した考案者の名前(ロレンツェ)が由来、とのこと。アクチュアリーと呼ばれる年金数理の世界では昔から有名な話だったようですが、日本で商品化されたのは約2年前ですので、まさに“時代にあわせて”出てきた新しい保険商品と言えるでしょう。
「トンチン年金」はとてもシンプルな商品で、死亡時の返戻金が払い込んだお金に対して大幅にカットされる代わりに、受取開始以降は本人が死亡するまでお金をもらい続けることができる、という終身年金です。ざっくり言えば、生き残った一部の人が、すでに死亡した人によって支えられる、というもの。米国では「トンチン年金」は珍しいものではなく、“オール・オア・ナッシング”と呼ばれる死亡返戻金ゼロの商品もあるようです。
商品設計にもよりますが、例えば、50歳から契約し、70歳から年金を受け取るとして、受け取る年金が払込保険料を上回るのは、男性で90歳、女性で95歳くらいになるようです。まさに“人生100年時代への備え”ですね。そして、この保険の判断基準は「長生きには備えたいけど、自分が死んだらお金はいらない」という割り切りができるかどうか、だと思います。
最後に、ある情報誌※に掲載されていた55歳女性のコメントが、この商品の特徴をよく表していたのでご紹介します。
「自分が生きている限り幸せでいられる保険だと思う。死んでしまったら、元が取れても取れなくても関係ない。自分では使えないんだから。」
「夫はいるけど、子どもはいないから、自分が死んだ後にお金を残す必要も特にない。(新しく契約したことは)夫には話していない。」
もしかしたら、あなたの知らない間に奥さまも、「トンチン年金」に入っているかも知れませんね。。。
大和証券 確定拠出年金ビジネス部
2018/8/3作成
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