ライフプランコラム「いま、できる、こと」vol.159(2021年7月9日)「やる、やらない」は覚悟、「続ける、続けない」は情熱

先日、折茂武彦さんの自叙伝、『99%が後悔でも。』を読みました。折茂さんは日本バスケットボール界のレジェンド、Bリーグ「レバンガ北海道」の社長も務めている方で、バスケットボールや経営について、こんな風に語っていました。

  • バスケットボールしかないという「情熱」はいつもそばにあった。だから「辞める」とか「続ける」なんてことを考える必要もなかった。経営に対してもそうだ。わたしなら、「情熱」があるものこそ続く、と伝える。
  • 何かを始めるか、始めないかについては「覚悟」だと思っている。やる、やらないについては、年齢も、環境も、お金もあまり関係ない。やる、やらないはいつだって自分自身の問題である。
  • ※以上、『99%が後悔でも。』より引用(一部省略)

折茂さんがおっしゃっているほどの「覚悟」と「情熱」をもって取り組んでいることがあるか、と問われたらどうでしょう?私自身は答えに窮しますが(苦笑)、この話を目にして思い出したのは、蓄財の神様とも称される本多静六さんの「四分の一貯金法」のこと。簡単に言えば、給料が入ったら使う前に四分の一を貯金してしまう、という天引き貯金のススメですね。有名な話ですので、ご存じの方も多いでしょう。また、給料天引きは勤め人の最強の貯蓄法と言われますので、ごく当たり前の話だと感じる方もいるかも知れません。私もそんな風に思っていました。でも最近、本多さんの自叙伝を読んで、その考え方を改めました。本多さんには、折茂さんがおっしゃっているような「覚悟」と「情熱」があったのだと思います。本多さんの著書、『私の財産告白』からご紹介しましょう。

  • 外国から帰って大変な月給取りにでもなったと早呑込みしてか、にわかに寄食者がふえ、全家族九人を数えるまでになった。
  • 貧乏脱出に手温いことでは駄目である。収入があったとき、容赦なくまずその四分の一を天引きにして貯金してしまう。その余りの四分の三で、いっそう苦しい生活を覚悟の上で押し通す。
  • 私の二十五歳のときから始めた貯金法である。初めの生活は全くお話にならぬ苦しさであった。月末になると子供たちは「今夜も胡麻塩?」などと泣き顔をした。
  • 四分の一貯金をつづけていけば、五年目には、十年目にはこれこれになる、いまの苦しさは、苦しいのを逃れるための苦しさだから、しばらく我慢してくれと家内の者に説いたのである。
  • 貯金の問題は、方法の如何ではなく、実行の如何である。
  • ※以上、『私の財産告白』より引用(一部省略)

四分の一天引きという方法は見聞きしていましたが、どんな風に実行していたかは初めて知りました。家族九人だけでも驚きですが、二十五歳の「覚悟」は相当なものだったでしょう。泣く子供らを前にして将来の為に我慢してくれと説くには、どれほどの「情熱」が必要なのか想像もつきません。でも、私の家族は本多さんの1/3、家族を養うための「覚悟」や「情熱」も本多さんほどの凄まじさは要らないでしょう。であれば、私でも少しは蓄財ができるかも、ですね(笑)。皆さんはどう思いますか?

大和証券
2021/4/30作成

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