ライフプランコラム「いま、できる、こと」vol.317(2024年8月2日)家計管理の原則を再確認できる、公的年金の財政検証

2024年7月3日、厚生労働省より5年に1度の公的年金の財政検証結果が公表されました。年金部会に提出された資料は7つ、計447ページにもなります(驚)。この財政検証結果、現役世代の皆さまにも、ぜひ、知ってほしい、そんな内容ではあるのですが、全てのページに目を通すとなると、う~ん、時間がいくらあっても足りませんよね(苦笑)。

では、どうすればいいのか?冒頭でも申し上げましたが、公的年金の財政検証は5年ごとに行うもの。ですから5年前の前回と比べてみる、これが財政検証結果を眺めるときのコツと申しますか、ポイントになるかと思います。

さて、今回の財政検証では、現役世代の平均手取り収入に対する年金額の割合、「所得代替率」という指標が、5年前に想定されていた水準に比べて改善していることが示されました。具体的には2024年度の所得代替率は61.2%、5年前に描かれたどのシナリオよりも改善したのです。

被保険者数の現状

被保険者数の現状

なぜ、改善したのか?その理由の1つは女性と高齢者の労働参加が進んだから。そして、もう1つの理由が積立金の運用が好調だったから。前者について、財政検証結果の資料で確認してみると、上の図になりますが、厚生年金被保険者が見通し以上に増えて、第3号被保険者が見通し以上に減っていることが分かります。

財政収支の現状

財政収支の現状

つまり、公的年金の保険料を負担する支え手が増えて、保険料を負担していない被扶養者が減った、もっと分かりやすく申し上げれば、厚生年金の保険料収入が増えて、年金給付費等の支出が減ったので、公的年金の収支が改善したのです。さらに申し上げれば、その改善は赤字幅が縮小したということではなく、赤字が黒字化し、積立金を活用しなくても支出が賄えているのです。

これはまさに、家計管理とは、収入の範囲内でやりくりするのが原則で、それでも苦しい場合は、まず収入を増やすことを考える、その見本を今回の公的年金の財政検証結果が示してくれているような気がします。

大和証券
2024/7/12作成

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